摂食症(摂食障害)とは?食事への恐怖や過食に悩む方に知ってほしいこと|北海道オンライン診療
「食べることが怖い」「食べ始めると止まらない」「食べた後にひどい罪悪感がある」——そんな思いを抱えながら、一人で悩んでいませんか?摂食症(摂食障害)は意志の弱さではなく、脳と心に関わる病気です。この記事では、摂食症の種類・症状・原因・診断・治療法について、精神科専門医の監修のもとわかりやすくお伝えします。受診を迷っている方への情報もあります。
「食べることが怖い」「食べ始めると止まらない」「食べた後にひどい罪悪感がある」——そんな思いを抱えながら、一人で悩んでいませんか?摂食症(摂食障害)は意志の弱さではなく、脳と心に関わる病気です。この記事では、摂食症の種類・症状・原因・診断・治療法について、精神科専門医の監修のもとわかりやすくお伝えします。受診を迷っている方への情報もあります。
目次
「なぜこんなに食べることが怖いのだろう」「また止まらなかった。自分はおかしいのだろうか」——食事をめぐる苦しさを抱えながら、誰にも言えずにいる方がいらっしゃいます。摂食症(摂食症)は、外見だけでは気づかれにくく、「意志が弱いだけ」「もっと頑張れば食べられる」と誤解されやすい病気です。しかし、これは脳の機能や心理的な要因が複雑に絡み合った、れっきとした医療的な状態です。
この記事では、摂食症の基本的な知識(種類・症状・原因)から、診断の流れ、現在行われている治療法まで、精神科専門医の監修のもとわかりやすくお伝えします。「自分や身近な人がそうかもしれない」と感じている方が、次の一歩を踏み出すための参考になれば幸いです。
摂食症は、食行動に関する深刻な障害が継続し、心身の健康や日常生活に大きな支障をきたす病気の総称です。日本では従来「摂食症」という言葉が広く使われてきましたが、2022年に発効したWHOの国際疾病分類(ICD-11)への対応に合わせ、近年の医療現場では「摂食症」という名称も使われるようになっています。本記事では両方の表記を用います。
摂食症は「食べること自体への異常」ではなく、食事・体重・体型に対する認知や感情が著しく歪んだ状態です。本人は苦しんでいますが、「やせたい願望」や「食い意地が張っている」などと周囲から誤解されることが多く、受診が遅れやすい病気のひとつです。
日本における摂食症の生涯有病率は、女性で約2〜3%、男性で約0.5%とされています(厚生労働省「摂食症の診療体制整備に関する研究」より)。特に10代〜20代の女性に多く発症しますが、男性や中高年での発症も決して珍しくありません。日本全国で少なくとも数十万人が何らかの摂食症の症状を抱えていると推計されています。
摂食症は「意志の問題」ではなく、脳の報酬系・認知機能・ストレス応答などが関わる医学的な病気です。適切な医療的サポートによって回復を目指すことができます。一人で抱え込まずに、専門家に相談することがとても大切です。
摂食症はひとつの病気ではなく、いくつかの異なるタイプに分類されます。DSM-5(米国精神医学会の診断基準)およびICD-11では、主に以下のように区分されています。
体重増加や肥満に対する強い恐怖があり、実際に低体重であるにもかかわらず、自分の体型や体重を正確に認識できない(体型認知の歪み)ことが特徴です。食事を極端に制限する「制限型」と、過食・排出行動(嘔吐・下剤の乱用など)を伴う「過食排出型」があります。
神経性やせ症は、精神疾患の中で死亡率が最も高い疾患のひとつとして知られています。長期的な栄養不足による身体合併症(無月経・骨粗鬆症・心臓への影響など)も深刻です。
短時間に大量の食物を摂取する「過食エピソード」を繰り返し、その後に体重増加を防ごうとする「補償行動」(自己誘発嘔吐・下剤・利尿剤の使用・絶食・過度な運動など)をとることが特徴です。体重は正常範囲内であることが多く、外見からは気づかれにくいため、発見が遅れやすい傾向があります。
過食エピソードを繰り返す点は神経性過食症と似ていますが、嘔吐などの補償行動を伴わない点が異なります。過食後に強い罪悪感・自己嫌悪・抑うつ気分を感じることが多く、肥満を伴う場合もあります。DSM-5で独立した疾患として定義されてから認知が広まりつつあります。
体型・体重への懸念とは無関係に、食物の感覚的な特性(においや食感など)への嫌悪感、食べることへの恐怖、食欲・関心の欠如などにより、極端に食事を制限する状態です。小児・青年期に多く認められますが、成人にも見られます。
| 種類 | 主な特徴 | 体重の傾向 |
|---|---|---|
| 神経性やせ症 | 食事制限、体型認知の歪み、体重増加への強い恐怖 | 低体重 |
| 神経性過食症 | 過食エピソード+嘔吐・下剤等の補償行動 | 正常〜軽度肥満 |
| 過食性障害 | 過食エピソード+補償行動なし、強い罪悪感 | 正常〜肥満 |
| 回避・制限性食物摂取症 | 体型への懸念なしに食事を極端に制限 | 低体重〜様々 |
摂食症は、心理的な症状と身体的な症状が複雑に絡み合って現れます。「自分に当てはまるかもしれない」と感じた方は、ひとつの参考として読んでみてください。
嘔吐や下剤の乱用が続いている場合、低カリウム血症などの電解質異常が起こることがあり、心臓の不整脈など命に関わる合併症につながる可能性があります。身体症状が強い場合は、精神科・心療内科だけでなく、内科的な評価も含めた早めの受診をお勧めします。
摂食症の原因は「ひとつのこと」ではなく、生物学的・心理的・社会的な要因が複合的に絡み合って生じると考えられています。「性格が弱いから」「ダイエットのやりすぎ」といった単純な話ではありません。
脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れが、食行動の調節や感情のコントロールに影響することが研究で示されています。また、摂食症には遺伝的な素因が関与しており、家族内での発症リスクの高まりも報告されています。
完璧主義・低い自己評価・感情のコントロールの難しさ・自分の感情や身体感覚への気づきにくさ(失感情症)などが、摂食症のリスク要因として知られています。また、虐待・いじめ・喪失体験などのトラウマが背景にあるケースも少なくありません。食事のコントロールが「唯一コントロールできるもの」として機能してしまうことがあります。
「やせていることが美しい」「体型が自己管理の証である」といった社会的なメッセージや、SNSでの体型・食事に関する情報の氾濫が、特に感受性の高い青年期に大きな影響を与えることが指摘されています。スポーツや芸術(バレエ・体操・フィギュアスケートなど)など体重管理が求められる分野での発症リスクの高まりも報告されています。
「最初はちょっとしたダイエットだった」という方も多くいます。そこに上記の要因が重なることで、食事の制限や過食が習慣化し、やがて自分の意志だけでは止められなくなっていく——これが摂食症の始まりとして語られることがよくあります。自分を責める必要はありません。
摂食症の診断は、精神科・心療内科の専門医が行います。身体合併症が疑われる場合は、内科的な検査も合わせて行われます。
食行動のパターン(食事制限・過食・排出行動の有無と頻度)、体重・体型への考え方、発症のきっかけ、症状が続いている期間、気分や不安の状態などについて丁寧に確認します。初回の受診で詳細にすべて話せなくても大丈夫です。医師は決して責めたりしません。
体重・BMI(体格指数)の確認、血液検査(電解質・肝機能・貧血など)、心電図などを行うことがあります。特に低体重が著しい場合や、嘔吐・下剤の乱用が長期に続いている場合は、内科的な合併症の評価が重要です。
神経性やせ症では、①著しい低体重、②体重増加や肥満に対する強い恐怖、③体型・体重の認知の歪みまたは低体重の深刻さを認識できないこと——の3つが主な基準となっています。神経性過食症では、過食エピソードと補償行動が3か月間にわたり平均で週1回以上繰り返されることが診断の目安とされています。
「あてはまるかも」と思っても、自己診断は難しいものです。気になる方は、まず専門の医師に相談することをお勧めします。
摂食症の治療は、身体面と心理面の両方にアプローチする必要があります。症状の種類・重症度・身体合併症の有無によって、治療の方針は異なります。「ひとつの方法で全員に同じ効果がある」わけではなく、個人に合った治療計画が立てられます。
特に神経性やせ症では、まず安全な体重の回復と栄養状態の改善が最優先課題となります。電解質異常や心臓への影響が懸念される場合は、入院治療が必要になることもあります。栄養回復は、心理的な治療の土台となる重要なステップです。
摂食症の治療において、精神療法は非常に重要な役割を担います。
摂食症そのものに対して「これが特効薬」という薬はまだ存在しませんが、合併するうつ症状・強迫症状・不安症状などに対して、抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:SSRIなど)が使用されることがあります。神経性過食症においては、フルオキセチン(日本では適応が限定的)などのSSRIが過食エピソードの頻度を減らす効果が研究で示されています。薬の使用は必ず医師の判断のもとで行われます。
重度の低体重・深刻な電解質異常・自傷行為・外来治療への反応が不十分な場合などは、入院による集中的な治療が検討されます。入院が必要かどうかは、身体的・心理的な状態を総合的に評価したうえで医師が判断します。
摂食症で受診を考えたとき、「精神科に行くことへの抵抗がある」「近くに専門のクリニックがない」「通院できる体調・気力がない」と感じる方は少なくありません。北海道は広大な地域であり、精神科・心療内科へのアクセスに地理的なハードルを感じている方も多いのではないでしょうか。
北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)では、スマートフォンやパソコンを使ったオンライン診療を提供しています。自宅にいながら精神科専門医による診察を受けることができるため、「人目が気になる」「外出が難しい」という方でも相談しやすい環境です。
摂食症は、症状の重さや身体合併症の状態によっては対面診療・入院が必要になるケースもあります。オンライン診療の場面では、まず症状の丁寧な聞き取りと状態の評価を行い、必要な場合は適切な医療機関へのご案内も含めてサポートします。「まず話を聞いてもらいたい」という段階から、気軽にご利用いただけます。
北海道オンラインクリニックのオンライン診療は、初めての方でもご利用いただけます。「受診するほどのことかどうかわからない」という段階でも構いません。一人で抱え込まず、まず専門家に相談してみることが回復への第一歩になることがあります。
「これって病気なんだろうか」「こんなことで病院に行っていいのかな」——摂食症に苦しむ方の多くが、受診を決断するまでに長い時間がかかると言われています。平均的な受診までの期間は発症から数年に及ぶこともあり、その間に身体的な状態が悪化してしまうケースも少なくありません。
あなたが感じている「食べることへの恐怖」「止まらない過食と罪悪感」「体型や体重への強いとらわれ」は、意志が弱いのでも、性格の問題でもありません。脳と心のメカニズムが関わっている、医療的なサポートが必要な状態です。
「食事が怖い」「過食を繰り返してしまう」と感じているだけで、受診の理由としては十分です。診断名がつくかどうかより、あなた自身が「つらい」と感じていることのほうが大切です。専門の医師は、あなたの話をジャッジせず、一緒に考えるために存在しています。
また、摂食症は「自分でどうにかできる」と思いやすい病気でもあります。しかし、早期に専門家の関わりを持つことが、回復の経過に大きく影響することが研究でも示されています。「もう少し自分でがんばってから」と思う気持ちは理解できますが、今のあなたには専門家のサポートを受ける価値があります。
もし身近に摂食症が疑われる方がいる場合も、「ちゃんと食べなさい」「意志が弱い」といった言葉はかえって傷つけてしまうことがあります。焦らず、本人のペースを尊重しながら、専門機関への相談を一緒に考えてみてください。
監修:道塚瞬(精神科専門医・精神保健指定医 / 北海道オンラインクリニック 統括医師)
北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)では、統括医師・道塚瞬が 日本専門医機構認定 精神科専門医および 厚生労働省 精神保健指定医の両資格を有しており、 初診から必ず専門医が担当します。
「近くに専門医がいない」「通院が大変」「プライバシーが心配」という 北海道全域の方々に、自宅から質の高い精神科医療をお届けするために、 オンライン遠隔診療を提供しています。